てんかんの症状・診断・治療

神経細胞内の分子モーターKIF5Aがてんかん発症に関与することを解明

 東京大学大学院医学系研究科の廣川信隆特任教授、中島一夫特任研究員らのグループは、神経細胞で分子モーターKIF5AがGABAA受容体を輸送しており、この輸送機構が破綻するとてんかんが発症することを明らかにしました。
 分子モーターとは、細胞の中でいろいろな荷物を運ぶ『運び屋』であるといわれています。これまで、分子モーターKIF5Aが何を専門に運んでいるのかは知られていませんでした。

 

研究グループが行った主な実験結果は次の通りです。

  • KIF5Aの遺伝子欠損マウスを作成して観察したところ、このマウスは生後しばらくして激しいてんかん発作を繰り返すようになった。
  • この時マウスの脳波には著しいてんかん性異常波が頻発していた。
  • このマウスの脳を調べたところ、GABAA受容体を介した抑制性神経伝達が大きく損なわれていた。
  • KIF5Aの『荷物』がGABAA受容体であり、KIF5AがGABARAPというタンパク質をなかだちとしてGABAA受容体を細胞内のゴルジ体から細胞表面へと輸送していることが示された。

 

 今回の研究により、てんかん発病の分子レベルでの理解が大きく前進しました。今後のてんかん治療の開発への重要な手がかりになることが期待されます。

 

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