母が後悔した友達のてんかん発作の話
これは子供のころ母から聞いた話です。
私の母は、戦後間もない昭和26年に生まれました。
炭鉱のある町に暮らしていた母の通う小学校には、転校生がとても多かったそうです。
父が炭鉱で働いているという裕福な家庭のきれいな女の子、Aちゃんが同じクラスに転校してきたのは、母が小学4年生の時です。いつもの通学路を並んで歩いていた登校中、突然「来る。来る」と怯えたようにAちゃんがつぶやきました。不思議に思い、ふと隣を見ると、そこには顔をこわばらせ、目を吊り上げ、わなわなと震える唇の端から泡を吹いているAちゃんがいました。「来る。来る」と遠くの一点を見つめ、立ち止まったままつぶやくAちゃんの異変に周りの子供たちも気づきました。次の瞬間「イヤー」と大きな悲鳴をあげ、仰向けに倒れたAちゃんは意識を失っていました。白目を向き、泡を吐き出し、硬直した両手足は痙攣してガクガクと大きく震えていました。
誰もが何もできず、ただAちゃんを見つめる中、出勤中の教師が現れたところで記憶が途切れていると言う母にとって、初めて目にしたAちゃんのてんかんの発作はとても恐ろしいものだったのだと思います。
その発作の後すぐAちゃんは転校してしまったそうです。理由はわかりません。
ただ、てんかんという病気に理解がなかった当時「あの子は狐憑き」という心無い噂が流れたそうです。
現在では、てんかんは治療方法の確立されたれっきとした病気として知られています。昔の間違った認識でいると、判断を見誤ることもあります。てんかんに対する正しい知識を身につけ治療や対処に臨みましょう。
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